今池中学校合唱部OB会 今池混声合唱団 第1回演奏会

−曲目解説−

T 中学生のための合唱曲

 中学生のための合唱曲は混声三部合唱がほとんどで、たいへん新鮮な感じを私達に与えてくれます。大人になると、ついつい忘れてしまいがちな純粋な心を呼び起こしてくれます。私達は、中学校OBの合唱団という事で、中学生のための合唱曲をステージで取り上げてみる事にしました。今回のステ一ジでは、私達が中学校の合唱部で歌った曲、あるいは中学校の音楽会で毎年のように歌われる曲の中から5曲聞いていただきます。

 今中合唱部が設立されてから4年間、渡部節保先生の作品を中心に練習をして来ましたが、その中から最初の年に歌った「栄光への道」を混声四部で、次の年に歌った「この街で学ぶ」を混声三部で、またそれ以降今年度までの3年間練習して来た岩河三郎先生の作品から「一羽の鳥」を混声三部で、そして本来中学生のための曲ではありませんが、校内音楽会でよく歌われている曲を2曲、「空・道・河」より「河」、「土の歌」より「大地讃訟」を混声四部で歌います。

 中学生のための合唱曲としては決して新しいものではありませんが、私達が当時、こんな歌を歌っていたんだという事がわかっていただけれぱ幸いです。

U 「愛ゆえに」

 この組曲は、「島よ」、「風のうた」等の作品から、「サッちゃん」、「いぬのおまわりさん」等の子供のための作品まで実に多彩な活動を続けておられる大中恩氏の手による組曲です。この組曲は、昭和47年に、コールMegの「大中恩九夜連続演奏会」の最終日の曲目として、同年夏、すでに大中氏が作曲した土田藍の詩による歌曲の中より、「愛ゆえに」の中の7曲をソプラノ独唱を交えた混声合唱曲として作曲されたものです。そのような経過を反映してか、歌曲としての色彩の濃い曲によって構成され、またそれ故に恋の喜び、幸せから、深い悲しみに到るまでの女性の心の詩を、実に見事に浮き彫りにしています。

 詩自体は簡潔で率直な表現がとられていますが、その中にある複雑な女性心理をどのようにしてとらえ、表現するかが、この曲を演奏する上で重要な問題になると思います。

V 混声合唱のための組曲「旅」

 幼い子供が、まだ一度も曲ったことのない街角を初めて曲った時、その子の目の前には、一体、どんな世界が開かれ、その子の心の中は、一体、どんな気持ちで満ち溢れるのでしょうか……。

 若者の旅に対する憧れ、その旅で刻々と変化する若者の気持ち、疲れ果てて自分の街へ足を向ける若者、再び旅のとりこになり、希望に胸をふくらませ旅立って行く若者。

 この組曲は昭和37年の作品で、7つの曲から成っています。アマチュア合唱団のために作曲された作品なので、技術的にも内容的にも比較的平易で、非常に歌いやすい曲です。それでいて、リズミカルなもの、メロディックなもの等、たいへんバラエティ−に富んだ要素を特っており、合唱をする事の楽しさを私達に与えてくれます。また、旅をする若者の姿を通して、常に何かにチャレンジするということ、それは若者の特権なのかもしれませんが、そういったことを私達に教えてくれるような気もします。数々の困難を乗り越えて力強く前進していきたい、そんな気持ちを、この歌にたくして歌いたいと思います。

 終曲「行こうふたたび」は、昭和52年度今池中学校卒業生が全員合唱をした曲でもあります。