今池混声合唱団 第18回演奏会

曲目解説

「モンテヴェルディ作品曲集」より

 音楽史を紐解くと、歴史に名を残す作曲家には2つのパターンがあることに気づかされます。1つは時代を代表とする者。もう1つは時代を創生した者です。前者の代表として、モーツアルトやヴァーグナーが上げられますが、モンテヴェルディは後者の代表です。彼はモーツアルトと同じくらい後世に影響を及ぼした偉大な作曲家であります。現在残っている作品は、宗教曲、世俗曲、オペラ、歌曲等と多岐にわたっており、その上バロックという一時代(様式)の礎を築いた、音楽史上まれに見る巨人でありますが、日本の音楽教育では取り上げられる事は非常に少なく、知名度が低い事を大変残念に思います。今回、演奏する“4声のミサ”は1651年、彼の死後に発表されたもので、3つある4声ミサの中で最も晩年の作品です。“西風が帰り”は、1614年に発表されたマドリガーレ集6集に収められており、どちらも色彩豊かで躍動感あふれる(つまりバロック的)大変美しい作品であります。今回は、あまたある彼の作品からこの2品しか取り上げられませんでしたが、彼が後世に残した輝きのうちから、かけらでも、きらめかせることが山来れば、幸に思います。

混声合唱とピアノのための「花に寄せて」

 この作品は、星野富弘の特集“風の旅”に出会った新美徳英が、生きる希望、生きる勇気を与えることこそ芸術の存在理由と共感して、合唱組曲に仕立て上げた作品です。星野富弘は、体育教師として中学校に赴任して、わずか2カ月後に事故で手足の自由を失いました、以後絶望の中にいた彼ですが、花の持つ美しさ、生命力のすばらしさに驚き、感動し、そこから生きて行くいく勇気と希望を得、ついに口で筆をくわえて字や絵が、かけるようになるのです。丹念な筆致と美しい色彩にいろどられ、それぞれの花に寄せられた彼の詩の数々。その言葉は優しく、強い。それは、まさに彼自身。そんな一つ一つの持つ言葉の感動が、伝えられるように歌いたいと思っております。