今池混声合唱団 第13回定期演奏会

〜曲目解説〜

「アメリカの心」

 初めに一言、お詫び申し上げたい。この6月上旬の情宣用チラシを作る段になって、改めてステージ名を考えることとなった。選曲に当たって何をやってもいいと言われたので、以前から一度はやってみたかった曲ばかりを集め思いのままに振ろうと思った。各曲に共通することといえば、“歌詞が英語”というただ一点。考えあぐねた末「アメリカの心」に決めた。早速編集委員のところに電話した。話が終ってヤレヤレと思ったところで気が付いた。3曲目の「ダニーボーイ」はアイルランド民謡だ。大西洋を隔てた国の曲を「アメリカの」の曲とは呼べない。一瞬ためらったけれど結局そのままでいくことにした。「アメリ力の心」は「アメリカの歌」ではないし、どんな曲歌ったって「アメリカの心」は表現できる。それよりもむしろ、「今池混声」の色を思えば、気楽に加わって楽しめる、そのために門を広く開けておけるステージも必要だ。とにかく楽しむ。この気持ちを大切に。

 簡単に曲目を紹介しよう。「イエスタデイ ワンスモア」カーペンターズのヒット曲。私事ながら、初めてのレコードがこれのLP。「シェナンド」漁夫達の歌=シーシャンテイの中の名曲の「ダニーボーイ」AGFのコーヒのCMにBGMで使われているから聞き憶えがあるはず。「ファイヴペニー」はダニー・ケイ主演の同名映画のテーマ曲。サッチモとの掛け合いでこの曲が歌われるシーンは有名。「ノーバディ ノウズ」黒人霊歌の代表曲のひとつで私が知っている唯−の曲。

混声合唱組曲 「ゆうべ、海を見た」

 この組曲は、明治大学グリークラブの委嘱により、1983年に男声合唱として作曲されました。当時のグリーメンの強い希望で、「メロディーラインの美しいロマンティックな曲にと思い筆を進めた」と作曲者荻久保和明は語っています。

 第1曲と終曲は美しいアカペラ(無伴奏〉で、作曲者の意図が、顕著に表われています。また、中間の3曲はピアノ伴奏つきで、3つの場面での海の情景と人間の感情とが表現されています。
 失恋から再生までという落合恵子のストーリ性ある短い詩を、オブリガー卜やヴォーカリーズを多用し海の表情を前面に出し、人の心を内面に秘め歌いあげています。

 本日、演奏する混声合唱版は、1985年に完成しました。男声合唱とは違った深さ・幅広さで、この曲を表現できればと思っています。

混声合唱のためのマザーグース・メロディー「こまどりをころしたのだれ?」

 マザーグースは、イギリスの童謡で、耳慣れた曲や耳に心地よく響いてくる曲がたくさんあります。おそらく、子供達の情操面を育てるために、簡単なストーリーの中で、明確な感情を抱かせる詩が多いように思います。

 聴いていて、きっと子供達は「たのしいね」「かわいそう」「ごめんなさい」「とってもきれいだね」、こんな言葉をつぶやいているのかもしれません。長い年月を経て、誰でもが口ずさめ、親しめる音楽に育まれてきたものだと思います。

 日本の童謡と違うところは、物事をシビアに見つめていて、けっこう残酷なことでもサラッと歌っていることです。でも、そのことを現実的にとらえるのではなく、ちょうどアニメでも見るようにイメージを思い浮かべ、想像力をかきたてて聴いているのでしよう。詩も音楽も、人それぞれの楽しみ方ができる、そんな気がします。

 ストーリーを大切に表現しながらも、子供に聴かせるような愛情を持ってこの曲を歌いたいと思います。