−曲目解説−
I ポール・バンヤン
最近、年齢をとったせいか「ああ、子供の頃は良かったなあ」と思う事がしばしばあります。年齢をとれば、それなりにいろんな事を考え、人間の一番嫌な表と裏の面にぶつかってしまいます。いつまでも無邪気のままでいられない事を悲しく思います。それならばせめて歌う時だけでも純粋でありたい。子供の心に戻りたい。そして出会ったのがこの曲でした。ポール・バンヤンは、幼い頃誰もが心の中に描くヒーローです。背が高くてひげもじゃもじゃで広い心と素敵な笑顔を持っています。誰よりも強く自然を愛しています。そんなポールの7曲の歌を紹介します。
「行進曲」は、子供がお母さんに自分の大事な友達の話をする、うれしくって元気いっぱいな曲です。
「ぼく木の中に入った夢を見たよ」これはポールが少年の頃見た夢のお話です。お城の中のお姫さまはポールの初恋の人だったかも知れませんね。「身元調査」「親友のべ一ブについて」「仕事」とポールのいろんな部分の説明をしています。親友が牝牛だなんてとてもポールらし い気がしませんか。
「子守歌」は私の一番好きな曲です。ヒーローだって子供に戻ります。優しく歌ってあげたい。「その後」にはおとぎ話を信じる心をいつまでも持っていられますように、とそんな願いが込められています。今回のステージでは充分な演出ができず、それがとても残念でした。でも、この曲を聞いて少しでも多くの人に子供の頃の気持ちを思い出してもらえたら、と思っています。そして、 自分だけのポールに出会えたら...こんな素敵な事はありません!。
U ON THE STREET CORNER 〜TATSURO YAMASHITA〜
「ON THE STREET CORNER」は山下達郎のアカペラアルバムです。今池混声なりの新しい試みとしてこのステージを用意しました。素晴らしい合唱曲が誕生している昨今、それらの曲が本当に聴かれる方々のためのものなのか、という疑問は拭い去れなく、そこから「聴きやすい、聴いていて楽しい」と、誰もが感じてくれるような音楽創りをして行こうと考えたのが始まりです。
山下達郎の曲は、シンプルでスマートそして都会的センスに溢れ、ハーモニーの美しさが特徴です。しかしそのハーモニーもありきたりのものではなく、最近の合唱ではやっている不協和音とも異なっています。又、達郎ならではのジャズを感じさせるハーモニーやリズムポップな感覚、そしてアカペラ等、様々な要素を含んでいて、それだけに音楽的な深み、興味を抱かせる名曲ぞろいです。曲自体は比較的単純でも、リズムに乗って音を出していくことは難しく練習でのポイントも、些細な音、リズムでも 自分のものにしきることに心がけました。。
V ふるさとの四季
今宵はメドレー形式で、四季感溢れる唱歌をお送りします。唱歌は民衆的な歌曲として愛唱され続けてきました。詞の題材は自然の美しさや文化、人々の愛情などが歌いこめられており、またその日本人創作の曲が持つ民族的特色は、今でも日本の創作歌曲や流行歌の旋律の上に強い影響を与えています。いわば私たち日本人の音楽の原点と言っても過言ではないでしょう。
この「ふるさとの四季」は国立音大出身の源田俊一郎氏の編曲によるもので、構成は始めと終わりに「ふるさと」を置き、春から順に四季を追って歌いついでいきます。それぞれ異なった曲がメドレーで連続するので、その曲と曲がどのように歌い結ばれるのかも、この曲のおもしろ味の一つだと思います。
今回をきっかけとして唱歌を失なわれてはいけない大切なものとして歌いついでいきたいものです。